いまち月のハコニワ

発達障害&卵巣嚢腫と生きるアラサーガールブログ

発達障害者は疲れやすい?原因と生きやすくするヒント【スプーン理論】

スプーン理論でわかる発達障害者のエネルギー量

 

こんにちは、いまちです。

 

発達障害をもっているわたしがずっと苦しんでいることのひとつが、疲れやすいという問題。

 

これ、巷ではよく言われているし、発達障害に関する書籍なんかを読んでいても、発達障害者の特性の一つとして挙げられていることですよね。

 

わたしは慣れないことやルーティン以外のことはもちろん、日常の当たり前の行動が、ストレスを感じるほど負担になってしまったりします。

 

具体的には、食事とか、入浴、家を出る、タンスに物を出し入れするなど。

 

 

 

なんでそれだけなのに!?みたいなかなりチョロいことにも、いちいち抵抗を感じてます。

 

それも、ほとんどが子供のころからずっと感じていることなんですよね。

 

 これってわたしだけ??と気になったので、アンケートを実施させてもらいました。

 

 

発達障害者は本当に疲れやすいの?

 

 

Twitterのアンケート機能を利用して、発達障害者の方を対象に、日々の行動のエネルギー消費に関するアンケートを取らせていただきました。

ご協力くださった方、ありがとうございます!

 

 

 アンケートの結果は、9割を超える方が「日々の行動にエネルギー消耗・疲労を感じている/感じていた」と回答。

そのうち、症状が子供のころからあったと回答した方は約7割でした。

 

みんなけっこう日常の行動に疲れを感じている…!

 

普段と違うことをして疲れるのは当たり前ですが、いつもやってるようなささいなことで、激しいエネルギー消費を感じるというのは困りますよね。

 

また、7割の人が子供のころから症状を認識していますが、発達障害の特性は子供のころから持続していることがほとんどですから、やはり多くの人が障害特性としての疲れやすさをもっているのかもと感じました。

 

なお、子供のころは感じなかったのに、最近になって日常に疲れを感じ始めた方は、何か他の原因も考えられるかもしれません。(うつ状態など)

 

(ちなみに、定型発達の方にも本当は同じアンケートを実施したかったのですが、おそらく「定型と思って生活している発達障害の方」も多数いらっしゃるんじゃないかな…と思い今回はやめました。)

 

疲れやすさの原因

 

何故、発達障害者はこんなにもエネルギーの消耗を感じやすいのでしょうか?

 

発達障害カウンセラーの吉濱ツトム氏は、著書『隠れアスペルガーという才能』の中で、「アスペルガー人は体が弱い」とした上で、次のような理由を挙げています。

 

アスペルガー人は基本的に体が弱く、常にどこかに不調を抱えている。

 

〜中略〜

 

代謝の低下、消化力の低下、睡眠不足、栄養不足、自律神経の乱れなどの問題が現れる。

これらの問題が、理由のないだるさ、疲れやすさ、頭痛や肩こり、腰痛、アレルギー、胃腸の弱さ、女性の婦人科系のトラブルを引き起こしている。

(一部要約)

 

つまり、発達障害者はいつでも元気いっぱいということはなく、常に何らかの体の不調を抱えながら生きているといえるのです。

 

慢性的な体調不良が、疲れやすさの大きな要因になっているって言えるのかも。

 

わたしいまちも、慢性的なだるさと肩こり、アレルギー、腸の弱さ、生理不順、そして卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞)など、さまざまな体の不調を抱えているので、非常に合点がいきました。

 

さらに、発達障害者の疲れやすさについて調べていたところ、それを理解し、生きやすくするための、ある考え方に出会ったのでご紹介します。

 

スプーン理論という考え方 日々のエネルギー量を視覚化

 

 

スプーン理論とは、全身性エリテマトーデスという慢性疾患の患者である、クリスティーン・ミゼランディーノさんの考案した考え方です。

 

慢性疾患を抱えるクリスティーンさんは、自分のもっているエネルギー量と、毎日の活動に対するエネルギー消費量を正しく把握して、慎重に配分する必要があるといいます。

 

そのエネルギー量をスプーンの本数で表すことで外部にもわかりやすく視覚化した比喩が、スプーン理論です。

 

そしてこの理論は、発達障害者の疲れやすさを理解のにもとても参考になる考え方なのです。

 

 

スプーン理論要約

クリスティーンが友人とダイナーで食事をしていると、友人が「SLE(全身性エリテマトーデス)を持っている、ってどういう感じなの?」と訊ねてきた。

そこで、クリスティーンは12本のスプーンを集めてきて彼女に持たせた。

「ほら、これであなたはSLEよ。」

クリスティーンは、健常者は朝起きた時に沢山のスプーンを持っているが、病人は限られた数のスプーンしか与えられていない、と伝えた。

友人に1日にすることを挙げてもらう。彼女が一気に「仕事に行く」というタスクに取り掛かろうとするので、そう簡単にはいかないことを教えた。

「まず、目を開いて、起き上がり、ベッドから出て、それから薬を飲むために朝食を準備しないといけない」

ここでクリスティーンは友人からスプーンを1つ取り上げた。

シャワーを浴びることでもスプーンを使い、着替えにもスプーンを使った。

仕事に行く前、彼女の手元のスプーンはすでに6個にまで減っていた。

仕事に行ってからは、昼食を抜くことや、パソコンを長く使いすぎることでもスプーンが減ってしまう。

また、夕方には夕食を食べなくてはいけないが、そのころにはスプーンはあと1つしかなかった。

 

クリスティーンは、持っているスプーンの数はその日によって異なることを教えた。

一番難しいことは、ペースを落とすこと。スプーンを数える必要がなかったころの自由が懐かしいが、これが健常者と病者のライフスタイルの違いなのである。

 

 原文が読みたい方はこちら。英語ですが。

 

 この考え方の発案者であるクリスティーンさんはSLEという慢性疾患の患者ですが、スプーン理論はSLE以外のさまざまな病気や障害を理解する上でも、非常に有効な考え方なのです。

 

発達障害の視点からスプーン理論を考える

 

実際に、スプーン理論を発達障害者のエネルギー消費に結びつけている本があります。

 

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見えない違い 私はアスペルガー』は、フランス人アスペルガー女性マルグリットの日常を描く漫画。

 

作中で、「アスペルガー当事者が1日に使えるエネルギーは限られている」ということに、スプーン理論を使って言及しています。

 

この本の主人公マルグリットはアスペルガーとのことですが、ADHDで激しいエネルギー消費を実感している人が多いことから、これは発達障害全般に同じことがいえるのでは、と思います。

 

発達障害者は、1日のエネルギー量に限界がある!

 

本書によると、アスペルガーの人が1日に使用できるエネルギーも、スプーン12杯分

 

マルグリットはこの基準を意識することで、自分の疲労具合を視覚化して把握することができるようになっています。

 

体が弱いのに、自分の疲労具合が見えないために、いつのまにか限界を超えて活動停止してしまうことの多いわたしたち発達障害者にとっては、疲労の視覚化は実に素晴らしいライフハックですね。

 

まとめ:自分のエネルギーの限界量を知ろう

 

 

今回は、自分のエネルギー量を視覚化できるスプーン理論という考え方をご紹介しました。

 

もちろん、何にどんな風にエネルギーの消耗を感じるかは人それぞれでしょう。

目安はあっても、人によって何がスプーン1本分になるのかは、厳密には異なると考えられます。

 

だからこそ、自分が何に激しくエネルギーを消費するのか、何をしたらどのくらい休憩が必要になるのかを、自分自身である程度把握しておくことで、毎日が過ごしやすくなると思います。

 

わたし自身、精神的疲労を感じて急に倒れることが多いので、エネルギー消費量を意識して日々を過ごしてみようと思う!